初演 | 2014年3月 | 復興支援コンサート「Harmony for Japan 2014」にて |
この曲は、一般社団法人Harmony for JAPANの活動の一環として発表された曲である。Harmony for JAPANとは、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の合唱活動の復興支援をする団体である。復興支援コンサート開催のほか、合唱曲の創出も手掛けており、小田美樹の「群青」、信長貴富の「歌になりたい」なども同プロジェクトから生まれた曲である。
この詩・曲を寄せたのは、英国の作曲家ジョン・ラター氏である。クレア・カレッジ在学中から教会音楽・合唱曲を中心に作曲を始める。1981年にはプロの合唱団ケンブリッジ・シンガーズの設立を果たす。代表的な曲として、ハリー王子・メーガン妃の結婚式でも使われた"The Lord Bless you and keep you"があげられる。
作曲にあたり、ラター氏からのメッセージが寄せられている。
2011年3月に東北地方で発生した恐ろしい地震と津波のニュースは、他の者と同じく私にとっても大きな衝撃であり、心痛むものでした。この私の思いを音楽を通して表現したいと思っていたところ、光栄なことにハーモニー・フォー・ジャパンから、亡くなった方たちへの追悼のための合唱曲を作曲してもらえないかという依頼をいただいたのです。
まず最初に私に浮かんだのは、人生とはなんと儚いものか、ということ‥まるで咲いたと思ったらすぐに萎れて消えてしまう花のように。その次に浮かんだのは、人生とは何と力強いものか、ということ‥新たな花が芽を出し咲き誇り、生命のサイクルがまた始まるように。そしてまた、思い出というものも強い力を持っています。誰かのことを思い出せば、その人は私たちのそばで生き続けるのです。
これが今回の災害に対する私なりの答えであり、同時に私の人生哲学でもあります。再生と希望に終わりはなく、永遠です。この私の思いが、A Flower Rememberedの詞と音楽を通して、演奏してくださる、そしてお聴きになるすべての方々にしっかりと届くことを願ってやみません。
ラターの言う「生命のサイクル」は、同じメロディーを繰り返し使用するところなど随所で表現されている。曲はゆっくりとした語り掛けるようなホ長調のメロディーがユニゾンで始まり、上2声とアルトの掛け合いで締めくくる。続いて嬰ホ長調のソロによりメロディーが再現され、3声のハーモニーがメロディーを添える。やがてLargamente(幅広くゆるやかに)でアルトと上2声の掛け合いが再現され、rit(だんだんおそく)で終わる。
初演は2014年3月8日。長岡京記念文化会館にて、復興支援コンサートHarmony for Japan 2014の中で、京都バッハ合唱団が演奏した。日本語の歌詞は、ラター氏の強い意向の元、ヘルビック貴子氏による詞が充てられた。
参考文献
- Lucy Todd(2018年5月21日)「Royal wedding 2018: The story behind the music」(BBC news より、参照:2021年12月25日)
- 一般社団法人Harmony for JAPAN「A flower remembered(永遠の花)」(一般社団法人Harmony for JAPAN Webサイトより、参照:2021年12月25日)
- 一般社団法人Harmony for JAPAN「一般社団法人 Harmony for JAPANについて」(一般社団法人Harmony for JAPAN Webサイトより、参照:2021年12月25日)
- John Rutter「John Rutter Biography」(John Rutter氏Webサイトより、参照:2022年1月6日)
文責:ソプラノ4年
渡邊あかり